第1話は・・・・こちら。
第2話は・・・・こちら。
「桜が咲き、桜が散る(完結)」
付き合いだして2年が過ぎた・・・。
順調に二人は交際を続けていた・・・。
ただ、お互い、格闘技道場は辞めていた・・・。
それぞれ、仕事が忙しくなっていたことと、何より二人っきりの時間を週末に過ごしたかったからであった・・・。
週末、変わらず二人はよく出かけた。
出かけるときは、常に手をつなぎ僕らは歩いていた・・・。
それが、二人の当たり前の行動だった。
そんなある日・・・。
彼女は人ごみ多い交差点で離れかけた手を自分のズボンの後ろポッケに潜り込ませた・・・・。
ふと、自分の記憶の中に、あの日の事がフラッシュバックのように甦った。
そう、2年前のサクラ咲く4月のことだ・・・。
「!!!!」
自分は我にかえった。
我にかえった瞬間、自分の胸がズキッ!と痛くなった・・・。
忘れかけてたあの日の出来事を思い出してしまう、という彼女に対する罪悪感から来たのか、自分の胸は苦しくなった・・・。
それから、映画を観たこと・・・。
食事をしたこと・・・。
周りの女子高生に「何、このオヤジが撮ってんの?」って視線を浴びながらプリクラを撮っていたこと・・・。
その全てが上の空だった・・・。
自分は彼女に覚られることのないようにしながらも気持ちは完全に落ちていた・・・。
その日、帰り道・・・。
夕闇迫る隅田川・・・。
サクラもまだまだ咲き誇り・・・。
「サクラ、キレイだね・・・」
彼女の言葉に自分は素直に言葉を返せなかった・・・。
花見を興じている酔っ払いの笑い声や、路上で若者が弾くギターの音が響く中・・・。
隅田川を下る、水上バスの波の音だけは、はっきりと聞こえた夕闇・・・。
「何かあった?」
彼女は自分の様子がおかしいとわかっていたかのように、声をかけた・・・。
「ゴメンな・・・」
「いやなこと思い出しちゃって・・・」
その時、彼女は何も言わず、自分の手を握った・・・。
「サクラ、キレイ・・・」
そして、しばらくベンチに座ってサクラを眺めた。
しばらくすると、彼女がカバンの中から、空になったお菓子を取り出した。
さっき、映画館で食べてた「コアラのマーチ」だった。
「ねぇ・・これ見て」
空かと思われた箱の中には1個だけお菓子が残っていた。
「これがどうした?」
「コアラの顔みて!」
そのコアラには眉毛があった。いわゆる“レアコアラ”だった・・・。
「ね?私たち何か良いことあるんだよ、これから・・・」
そして、自分に気付かせてくれたこの一言・・・。
「ねぇ?二人が(格闘技)道場に行くようになったきっかけってなんだったっけ?」
その彼女の遠まわしの励ましに、我にかえった・・・。
何を自分は過去の細かいことでメソメソしてるのだろう・・・。
過去のトラウマで自分には幸せが来ないのではないかと思ってしまってた現実。
年下の彼女が簡単に他の男性と子供を作ったという事実。
その傷ついていた自分の心は、癒されない物だと現実を拒絶していた自分。
傷ついた自分をもっと強くなりたい!と思う気持ちで通い始めた道場。
彼女も同じ思いだったことに気がついた。
今ここにある幸せ。
今ある、この幸せは、自分が望み抱いていた「幸せ」なんだ・・・。
自分だけの独りよがりで落ち込んでいるのは、今、自分の隣にいる彼女もそういう時があって。
過去の彼女と今の彼女を「同じ女性」と括るのは今の彼女にとても失礼だし、自分の勝手な我が儘なんだ。
彼女の小さな励ましが、自分の凍りついたココロを溶かしていった。
自分は涙が止まらなかった・・・。
この子が大好きだ。
この子とずっと一緒にいたい・・・。
自分が今までとらわれてきたのは全てが「過去」であって、いまこの子と一緒にいるのは「現在」。
そして、明るい未来が二人には見えている・・・。
自分はこの子と未来を歩いていきたい・・・・ずっと、手をつないで。
「来年も、またサクラ見に来ような・・・・」
「 う ん 」
「いや、これからもズーッと一緒にサクラを観に来ような・・・」
「え??」
「結婚しよう・・・」
サクラ舞い散る4月の隅田川・・・。
これからも、この季節が来るたびに甦るであろうこのときの出来事・・・。
自分はこれから何年、何十年と歩くだろう・・・。
“桜子”という名前のこの子と手をつないで桜並木を歩いていくだろう・・・。
酔っ払いの騒音と・・・。
路上ライブの演奏と・・・。
川面の波の音に包まれながら・・・・。
(終わり)
いやぁ・・・恥ずかしい恥ずかしい・・・。
こんな文章書こうと思わなかったけれども・・・ちょっとのひらめきと、ちょっとの実体験と、ちょっとの願望でこんな風になってしまいましたわ・・・。
年下の女性に騙されたり、もてない毒男がいかに彼女ができるのに苦労しているのかをちょっと表現したかったんです。
←頑張ろう!毒男諸君!(あっ・・・毒女も頑張れ!)